こんにちは、木坂です。このメールはパフォーマンスセミナーを受講の方に
お送りしております。

1.実技セミナー開催のお知らせ。

先日アンケートを取らせていただいた実技セミナー、
即日かなりの数のご希望がありまして、かなり要望が
あるということが分かったので、開催します。

月1回とか、定期的に開催してほしい、という意見もあって、
まあ、それが理想だよなとは思っていますので、ちょっと
検討します。

応用編は何をやるんですか、という質問がありましたが、
何をやるというのは説明しにくいんですよね。

「より合理的でロスのない動きを手に入れるために必要なこと」

をやるとしか言えないのですが、強いて言えば

・呼吸
・股関節の使い方
・肩甲骨の安定性と可動性

を重点的にやることになるとは思います。

特に呼吸は、知り合いの総合格闘技の世界ランカーが10分程度で
オールアウトしてチアノーゼ気味になった呼吸トレーニングが
あるのですが、そのバリエーションをやりたいと思っています。

「呼吸トレーニングでチアノーゼ?」

って思うかもしれませんが、地獄のようにきついんです、
ホントに。

僕もまだ完璧にはできないので、日々トレーニングしてます。

でも、赤ちゃんは当たり前にきゃっきゃしながら、
できるのです。

赤ちゃんすごい。。。

それを、非常に負荷が低いものから順に、体験して
もらおうかな、と。

赤ちゃんができることなので、別にスポーツとは
何の関係もありません。

「人間としての本来の機能を取り戻す」

というだけです。

そして、この呼吸トレーニングを通して、

「本当の意味での体幹トレーニング」

を体験してもらえると思います。

セミナーでも言いましたね、

「体幹が安定して初めて四肢が自由になる」

って。

人類が直立二足歩行ができるようになったのはお尻の筋肉が
発達したからですが、それ以前に体幹が安定しなければ
そもそも四肢が自由に動かせず、人間らしい動きは何ひとつ
できないのです。

なので、体幹トレーニングというのは、本来アスリートの
ためのものでもなければ、ダイエット目的のものでもなく、
万人が「本来の力」「本来の動き」を取り戻すために
必要なものなのだと言えるでしょう。

その観点から言うと、世の中の体幹トレーニングがいかに
適当なものであるか、この呼吸トレーニングをやってもらえれば
身体で分かると思います。

息ができれば誰でもどこでもできるので、
是非受講した方は毎日3分でも5分でもやってみてください。

これだけでも身体の感じがかなり変わるはずです。

ああ、身体ってこんなに軽かったのか、とか、
今日は疲れにくいな、などは比較的すぐに感じられる
変化だと思いますよ。

受講希望の方が結構いたので、平日クラスと土日クラス、
両方作れそうです。

基礎編:7月15日(土)、7月17日(月)
応用編:7月16日(日)、7月18日(火)

という日程で、来月は開催したいと思っています。

平日クラスも土日クラスも内容は基本的には同じなので、
ご都合の良い日程で参加してください。

できれば基礎編から受講してもらいたいですが、日程的に
どうしても、という場合は応用編から先に受講してもらっても
大丈夫です。

時間は全日程13時半~3時間程度(休憩含む)を
予定しております。

受講費は、基本編も応用編も5万円、両方受講する場合は
8万円です。

受講される方は

https://55auto.biz/alchemy/touroku/p_gs.htm

こちらから連絡をお願いします。

2.「マスタリー」の秘密。

一連のパフォーマンスセミナー、そしてパーソナルサポートで
達成したいのは、とにかく

「エネルギーロスの少ない身体と動きを作る」

ということです。

それを達成するためにミクロ的なアプローチとマクロ的な
アプローチに分けて、それぞれ戦略をお伝えしたつもりです。

もちろんその通りにやってくれればとりあえずは何らかの
結果は出ます。

ただ、ちょっと本格的に取り組もうとすると、ミクロ的な
アプローチは目に見えないという難しさがあり、マクロ的な
アプローチは何十年もかけてしみついた変な癖を修正するのが
難しい、という、両者ともにそれなりに努力と感性が要求される
ものになっていることもまた実感されると思います。

だからこそほとんどの人は完全に無視してダラダラ日々を
過ごし、40歳を過ぎて健康診断で引っかかるようになり、
50歳を過ぎて如実に身体の動きが悪くなり、60歳を
過ぎると「不調な日が普通」みたいになり、70歳を過ぎたら
身体のどこが痛いとか、薬は毎日何錠飲んでるとか、そういう
自慢話ばかりをするようになるわけです。

別にそれもまた人生ではあるのですが、この人生には

「ハイパフォーマンス」

な時期が、全く存在しないのです。

「そんなのその人の自由なんじゃないの?」という見方も
あるとは思いますが、僕はアリストテレスを信頼してますので、
そういう生き方は人として普遍的に正しくないと思っています。

「卓越することこそが人間としての徳である」

というのがアリストテレスの言ったことですが、当然、
低いパフォーマンスの人間(=エネルギーが平素よりダダ漏れに
なっている人間)が卓越することはできません。

なので、みなさんにはせっかくこうしてセミナーを受講して
もらった縁ということもありますし、昨日より少しでも身体の
状態がよくなる、パフォーマンスが高くなる、という生き方を
してもらえればなあと思うのです。

さて、ミクロはひとまず置いといて、マクロ的なアプローチを
考える時、多くの人は「正しい動きとはどういうものだろう」と
考えます。

前回のメールで取り上げた質問もそうですが、正しく
動きたいのだから、その正しい動きを知ることが第一歩だ、
という発想なわけですね。

それは全く正しいアプローチだと思います。

ただ、ひとつだけ、大きな問題が横たわっていることを
忘れてはいけません。

というか、知らなければいけません。

「できない動作は何万回練習してもできない」

ということを。

これは、最近の認知科学や運動学習理論の研究成果から
導かれてきた仮説ですが、従来の学習セオリーを根底から
覆すインパクトを持っています。

例えば、有名な「1万時間理論」がありますね。

何でも1万時間練習すれば専門家になれる、というアレですが、
1万時間だろうが100万時間だろうが、できないものは
いつまでもできないんだ、ということになります。

もうちょっと話を進めると、

「何かが上手になる」

というプロセスを考えたときに、僕らは

「まずは丁寧に、ひとつひとつ意識して練習しなさい。
それを何度も何度も反復していれば、いつかは無意識で
できるようになる。」

と言われてきました。

これは何の根拠もない、単なる精神論でした、ちゃんちゃん、
という何とも恐ろしい話です。

実を言うと、僕は特定の動作の反復練習というものは
ほとんどしたことがなく、英単語の暗記とかも、
周りのみんながノートいっぱいに同じ単語を大量に
書いているのを見て何やってんのか理解ができないでいた
過去があります。

それはやっぱり、何の根拠もなかったわけです。

ようやくアカデミックな研究が僕の20年近く前の感性に
追いついてきたんだな、と感慨深く世の中を見ていますが、
というのは冗談としても、このことを理解しておくことは、
正しい身体操作を習得する上で本当に重要になります。

「いやいやいや、世界の王さんとか、イチローとか、
毎日毎日素振りをしたり、反復してるじゃないですか」

という気持ちもわかるのですが、あれは多分「反復」じゃ
ないんですよね。

厳密に言えば、僕らは「完全に同じ動き」を一生に2回は
できないわけです。

必死に、丁寧に同じ動きをしようとしても、必ず、
何かがほんのちょっとは違うはずで。

それを「同じ動きなんだ」と(誤って)理解して繰り返して
いるのが「反復」であり、そうじゃなくて

「全部異なった動きなんだけど、同じ結果を得たいんだ」

として一回一回を新しい運動として練習しているのが
王さんやイチローのメンタリティなんじゃないかと、
僕は思っています。

最近の運動学習理論の根幹にあるトピックが、
この点にあります。

周辺にはいろんな概念がありますが、要は、

「何にフォーカスしているのか」

というところで、従来の「同じ動きを繰り返すこと」に
フォーカスしても、それが結果につながる根拠は何も
ありませんよね、だったら得たい結果につながりそうな
「あらゆる動きのバリエーション」を全部試した方が
確率高いんじゃないですか、と。

そんな方向性になってきている、ということです。

これは先ほども言いましたが認知科学の成果、脳科学の成果、
あとは運動指導の現場におけるデータなどなど幅広い研究結果を
統合して導かれている仮説で、僕は妥当性があると思っています。

運動神経がいいやつ、というのがクラスに何人かはいましたね。

そいつらの中でも特に運動神経のいいやつがプロアスリート
なんかになっていったりするわけですが、じゃあ運動神経って
なんなのか、と。

アメリカでトップアスリートを対象に調べた研究があるのですが、
トップアスリートになればなるほど、幼少期から非常にたくさんの
スポーツをやってきている、ということがわかっています。

ある特定のスポーツを頑張ってきたやつは、まあ言葉は
悪いですが

「そこそこ」

の選手で止まってしまう傾向にある。

このことを厳密に議論しようとすると、身体の動きと
脳の発達の関係にまで踏み込まないといけないのでここでは
割愛しますが、いずれにせよ、大事なのは取り組んできた時間や、
深さといった従来から言われてきていること以上に、

「バリエーション」

なのではないか、ということがわかってきた、という点です。

僕がパーソナルサポートでいろんなメニューをやらせるのは、
たぶん何の目的でやらされてるかわからないものもあると
思うんですが、それはこういう理論的な背景があってのことです。

適当にいろんな動きをやらせているのではなく、得たい結果に
結びつくであろう動きのバリエーションをいくつもやらせている、
と理解してもらえればいいのかな。

その引き出しの多さと選択の適切さこそが、僕らが求める意味での
パフォーマンスアップを掲げるトレーナーやトレーニーには
必要なことなのですが、そもそもこの発想自体、ほとんどの
人がまだ持っていません。

マスタリー、と言ってもいいし、巧みさ、と言ってもいいのですが、
何かに熟達するということは、長らくブラックボックスでした。

ひとつのことを1万時間頑張ればいいんだ、というのは
ブラックボックスを開けようとした黎明期の重要な遺産です。

確かに、何かを達成した人は皆1万時間以上努力していた。

でも、逆は真ならず、なのです。

1万時間努力した人が皆、何かを達成するわけではない。

今では、この手の話はレガシーを乗り越えてだいぶ先に
進んでいて、ものすごく乱暴に言えば今回メールで説明したような
ところに、つまり

「バリエーション」

というところに、暫定的に落ち着いています。

さて。

こう言ってしまうと随分最近の研究成果なんだな、という
感じがすると思います。

もちろんそれはその通りなんですが、どの世界にも天才というのが
存在していまして。

周りよりも10年20年、50年100年、先んじて重要な
視点を手に入れている天才が。

今回お話ししたジャンルで言えば、ベルンシュタインという
人がその人でしょう。

彼が書いたデクステリティという本は、この分野の古典的名著
であると僕は思っています。

ここをたたき台にしてみんな大好きアフォーダンス理論とか、
認知科学的な視座というものが出来上がっていったと言っても
過言ではない代物と言えるかな、と。

運動制御、運動学習に関して興味がある人は当然として、
何かに熟達するそのメカニズムについて何かしらのヒントを
得たい人は、邦訳が出てますので、是非とも読んでみて
いただければと思います。

それでは、またメールします。

ありがとうございました!

木坂